愛岐トンネル群とは?

ただ今再生中!!

旧国鉄中央本線廃線跡・愛岐トンネル群の緑豊かなトンネル回廊

 

プロローグ

2005年、愛知県春日井市にある明治期に造られたJR駅舎の改築工事が始まった。撤去されることになった「レンガ製ホームを街づくりに活用しよう!」とレンガ保存運動がおきた。そのさなか、ある古老が「そんなにレンガが大切なら、多分市内にレンガトンネルが残っているはずだ!」と。この一言が、地元自治体のみならず市民からも忘れ去られていた旧国鉄の隧道(ずいどう)「愛岐トンネル群」の発見につながった。

 

ヒストリー

1900年、岐阜県多治見市と名古屋駅を結ぶ国鉄中央本線が開通した。その時、多摩・千里と共に3大マンモスニュータウン春日井市高蔵寺エリア裏山の庄内川沿いの定光寺から多治見間の8キロあまりの距離に全国でも珍しい14ヶ所ものトンネルが掘られたが、1961年、新ルート開通によりこれらの鉄路が廃線となり、約8キロの軌道敷は川沿いの急峻な崖にあったため、2006年に市民の手で発見されるまで約半世紀の間、人々の記憶から消え去っていた。

 

D51が走る(昭和31年)
D51が走る(昭和31年)
古虎渓駅から8号トンネルへ(昭和34年)
古虎渓駅から8号トンネルへ(昭和34年)

再生始動

市民が集まり「廃線とトンネル群の再生活動」がスタート。藪(やぶ)を切り裂き道なき路を作り自然に埋もれた“廃線の発掘”と文字どおり探検もどきの活動が始まった。長年の間放置された廃線には直径30センチを超える樹木が育ち、5人で1日5mも進めないほど獣道もない鬱蒼(うっそう)とした藪に遮られていたが、愛知県側の廃線1.7キロを整備したことをきっかけに市民にも触れてもらおうと2008年「再生現場見学会」を開催した。その後、毎年春と秋の限定で5日間程度の特別公開を実施し、近年は全国20都府県や海外から年間3万人近い入場者が訪れている。

 

反響

調査の結果、現存する明治期のレンガ製隧道としては国内最多を誇る規模であることが判明、また経済産業省の「近代化産業遺産 続33」に選定されるなど、小さな地域の小さな市民活動が一躍脚光を浴びている。

 

 

100年先へ伝えるには・・再生への道

貴重な産業遺産を再生・活用の手段としてこれらの廃線に隣接する既存のJR駅と次の駅間3,5キロを徒歩で廃線を歩いてつなぐ「駅間フットパス構想」を提言し、地域全体で観光資源としての再利用を目指してほしいと願っている。(文責:村上真善)

 

特定非営利活動法人 愛岐トンネル群保存再生委員会